2022年01月08日
雪は天からの手紙
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雪の結晶.
天からの手紙.
ゆっくりと読みたいけど…
出勤(>_<)
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2022年1月6日の昼から夜にかけて,
南関東は広く雪になりました.
関東南岸に低気圧が発生し,
通過したためです.
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降り始めのひととき,
地表付近の湿度がかなり低く,
葉先などに積もりはじめた雪には
かなりしっかりと結晶の姿が.
まさしく雪印.
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この雪の結晶は広く見られたらしく
多くの人がキレイな雪の結晶を
SNSに報告していました.
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俺は出勤のため,
写真はiPhoneでちょびっとだけ.
せっかくなら,
もう少しゆっくりと結晶を探したかったなぁ.
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「雪は天からおくられた手紙である」
雪の結晶の研究や人工雪などで有名な
物理学者で文筆家の中谷宇吉郎さんによる
あまりに有名な言葉です.
たしかに.
結晶をラッキーにも見ることができると
そのような思いを強くします.
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雨も天から送られた手紙には違いないのですが,
その雨滴は多くが最初にできてから今までの間に
成長,そして結合,分裂を繰り返しています.
つまり,履歴が他者と混じるのです.
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その点,雪の結晶単体は,
氷晶核から成長し始めて地面に達するまでの
すべての履歴がその姿に刻まれています.
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生まれた場所の環境,
成長していく場所の環境,
落花する途中の環境.
それらをその体に表しているのです.
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話がちょっと,いやだいぶ飛びますが.
ワタクシメが学生時代に研究していた岩石が
「変成岩」といいます.
堆積岩や火成岩は有名ですが,
変成岩ってそもそも何でしょう?
この変成岩,
もともと堆積岩や火成岩だった岩石が,
造山運動で地中深くに引きずり込まれたり
マグマの熱が近くを通るなどで熱せられたりしながら
高い温度や圧力の下に長く置かれることにより
「融けずに変質」した岩石のこと.
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岩石トータルの成分自体は,
融けない限りは外との出入りが基本的に無いので
熱があろうと圧力がかかろうと
元の堆積岩や火成岩と変わりません.
それらが「変成」していくのです.
「変成」とは,
その成分で置かれた温度・圧力に平衡な状態に再結晶すること.
その温度圧力で長く置かれると
やがては新たな鉱物の組み合わせに置き換わっていきます.
そしてここがなんとも不思議なところなんですが
「ある成分範囲の岩石が,
ある温度,圧力の下で平衡になると
必ず同じ鉱物の組み合わせになる」
という驚きの原理があります.
なんとも不思議ですよねぇ!
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そして.
そこは変成岩,融けずに変化していくので,
新たな結晶の成長過程の中に,
その時に平衡だった鉱物の組み合わせを
タイムかプセルのように取り込んでいきます.
それが結晶内に包有物として遺り,
それらを探ることにより
その岩石の過去に置かれた温度圧力環境の変化を
読み取ることができます.
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そんなわけでまさしく,
「変成岩は地中からやってきた手紙」
と言っていいでしょう.
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これって,
雪ととってもよく似ています.
時間軸はまったく違いますけれども( ̄∇ ̄)
そこに共通するのは「固体で居続ける」
ということ.
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固体という,
基本的に他者と混じりづらい形態を
しっかりと維持していくことによって,
そこに大切な証拠を残すのです.
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この冬にまた雪の結晶を見ることができたとき
空で生まれてからこの形へと成長し
そして地面に達するまでの物語に,
ぜひ思いを馳せてみてください.
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Posted by りょーすけ. at 19:14│Comments(0)
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